基本情報
- 所属
- 学習院大学 文学部 心理学科 教授
- 学位
- 博士(教育学)(2019年9月 京都大学大学院教育学研究科)
- 研究者番号
- 20730625
- J-GLOBAL ID
- 202201018415741208
- researchmap会員ID
- R000039768
研究分野
1受賞
1-
2020年4月
主要な論文
23-
箱庭療法学研究 29(3) 3-13 2017年 査読有り自閉症スペクトラム障害(ASD)は象徴機能が未成立のイメージ以前の世界を生きているため,ASDの心理療法では,主体や心理療法の枠組みの成立が目標となる。イメージの心理学が織物(テクスチャー)で象徴されることに倣って,本論考ではイメージ以前の世界を生きるクライエントとの心理療法を,枠組みも,そこで起きる出来事も,治療関係もすべてが混ざり合う練り物(マテリアル)と考える。ASD児とのプレイセラピーでは治療者も未分化な意識状態になることがあり,本論考ではこれを「地べた意識」と呼ぶ。「地べた意識」は,世界に“練り込まれた”治療者の意識過程を通して,主体や場の生成過程に内側から関わる試みである。本論考ではASD児との児童期から思春期にかけてのプレイセラピー過程を提示し,一続きにつながった世界の成立から,それが否定されてクライエントが主体として分かれていくプロセスを検討した。
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埼玉工業大学人間社会学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Human and Social Studies: Saitama Institute of Technology 14 47-53 2016年3月1日
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箱庭療法学研究 29(1) 43-54 2016年 査読有り自閉症スペクトラム障害(ASD)は自他未分化の状態に留まっているため,間主観性の障害や主体のなさが問題とされる。ASDへの心理療法的なアプローチでは自他の分化に関わることが目指される。自他の分化は未分化で連続した状態の中で生じる相互作用(原初的な間主観性)から始まる。ASD児とのプレイセラピーでは,治療者も原初的な意識状態に引き込まれることがある。本研究では,こうした治療者の治療的退行を「地べた意識」と呼ぶ。地べた意識は,治療者自身が自他未分化な世界に参入し,そこで起きていることを自らの意識過程を通して意識化しようとする試みである。地べた意識では治療者は常識的な思考を手放して,述語論理的な思考となる。本研究では,自閉症スペクトラム障害児との地べた意識によるプレイセラピーの事例を提示し,治療者と子どもが場に融け合いつつ出会い,響き合い,次第に差異化してゆく原初的な間主観的プロセスとして考察した。
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心理臨床学研究 26(5) 603-614 2008年12月 査読有り不登校を主訴として来談した思春期男児(14歳)の事例を提示し、心理療法過程とは「人間(来談者と治療者)の関わりによってイメージが受肉し解体する過程」としての視点を試みた。人間の関わりとは、イメージに「入り」それを「生きる」ことと、そのことを「省察する」ことの両方を含む。それは「魂に巻き込まれ」、「本当に騙され」、」そしてそのことを「後の認識」として知るという姿勢を通して可能になる。事例において、「鬼」のイメージを自ら体現しているクライエントに治療者は畏怖の感情を抱くと同時に魅了され、自らもイメージの担い手として面接過程の中に入っていった。こうしたイメージは、心理療法過程のなかで生きられることで「受肉」し、変容し、さらに治療者の自己省察であるこの論考のなかで論理へと「解体」していった。ここでは心理療法過程を人間とイメージとの弁証法的で「底無し」の関わりとして見る視点が提示された。



