伊藤 亜矢子, 宇佐美 慧
教育心理学研究 65(1) 91-105 2017年
学級の個別的・心理社会的性質を意味する学級風土は, 学習環境の基盤として重要であり, いじめ・暴力の予防や精神健康の向上, 特別支援教育などの側面から注目を集めている。本研究では, 学級風土質問紙(CCI; 伊藤・松井, 2001)を元に, 近年の子どもをめぐる社会や学校の変化を踏まえて, 新版の中学生用CCIの作成を試みた。首都圏・北海道・東北・北陸・東海・近畿・九州の計24中学校227学級にて回答データを収集し, 得点の経年変化を調べるとともに, マルチレベル因子分析の枠組みを通して尺度の再構成を行い新版のCCIを作成した。また, 基準関連妥当性に基づく妥当性検証を行い, さらに旧版と新版の両者を用いた教師コンサルテーションの結果から, 新版CCIの実践的有用性を例証し, 結果提示の方法・尺度構成の更なる見直しの可能性について検討した。