化学科

深海 雄介

フカミ ユウスケ  (Yusuke Fukami)

基本情報

所属
学習院大学 理学部 化学科 助教
学位
博士(理学)(東京工業大学)

研究者番号
10754418
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-6066-8761
J-GLOBAL ID
201901012340502578
researchmap会員ID
B000353081

論文

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MISC

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  • 深海 雄介, 有泉 涼子, 大野 剛, 伊地知 雄太, 柏原 輝彦, 鈴木 勝彦, 平田 岳史
    日本地球化学会年会要旨集 70 189 2023年  
    磁気同位体効果は同位体の核スピンの有無に起因し、核スピンを有する同位体のみが非質量依存同位体分別(MIF)を起こす同位体効果である。重元素においては、環境中のトレーサーとして利用される水銀や、隕石中のスズ、同位体分析前処理におけるタングステンの報告など、地球化学、分析化学における議論の対象は様々な重元素に広がりつつある。重元素の磁気同位体効果によるMIFにおいては、核スピンを有する奇数同位体が複数存在する元素があるため、奇数同位体間の分別の相対関係を観察することができるという特徴を持つ。これら重元素のMIFの変動がどのような分別機構に由来するのかを理解することは、天然中で観察されるMIFから地球化学的情報を読み取る上で重要である。本発表ではスズのMIFを観察することが可能な実験系に着目し、磁気同位体効果によるMIFの性質について、特に奇数同位体間の相対関係について議論する。
  • 大野 剛, 平野 隼, 村上 諒, 伊地知 雄太, 深海 雄介
    日本地球化学会年会要旨集 70 128 2023年  
    水銀は人体に有害な重金属元素であり、揮発しやすい化学的性質により、全地球規模での汚染が問題となっている。また、水銀は生物に濃縮されやすく、微量であっても人体に影響を与えることが懸念されており、人への暴露経路となる大気・水圏における水銀循環の理解は、人への影響を低減していくために重要な研究課題である。しかし、水銀の大気に滞留する時間は1年以上と長く、全地球規模で移流・拡散していくため、発生源を特定し、環境での環境動態を明らかにすることは難しい課題となっている。近年、水銀の環境動態を調べるために、従来の濃度情報に加えて、水銀の同位体組成に注目した研究が行われている。本研究では、光還元反応における水銀同位体分別の波長依存性について調べることを目的とした。
  • 深海 雄介, 柏原 輝彦, 天川 裕史, 渋谷 岳造, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 69 203 2022年  
    鉄マンガンクラストは海洋底に広く分布する鉄マンガン酸化物であり、海洋におけるテルル循環を理解するための重要な試料である。本研究では、北西太平洋に位置する拓洋第5海山と拓洋第3海山の2つの海山において、水深1000〜5500 m付近の水深から採取した鉄マンガンクラスト表面のテルル安定同位体組成を明らかにした。テルル濃度と同位体組成変化の相関関係を見ると、ある水深を境にして相関が逆転していることが明らかになった。濃度と同位体組成の相関関係が水深によって異なるこれらの水深プロファイルは2つの海山で同様であり、濃度・同位体組成の変化が2海山において共通のプロセスで起きていることを示唆している。一方で相関関係が変化する境となる水深は2海山で異なり、拓洋第5海山では約2000 m付近、拓洋第3海山では約3200 m付近に位置しており、酸素極小層が異なる深さに位置していることと対応している可能性がある。
  • 大野 剛, 吉田 亜実, 伊地知 雄太, 深海 雄介, 五十嵐 康人, 平田 岳史
    日本地球化学会年会要旨集 69 39 2022年  
    環境中には人為起源の放射性核種である 233U、236Uが存在する。人為起源ウランは核実験や原子力関連施設の事故などから環境中へ放出され、これらのウラン同位体比は起源物質に依存して変動するため、ウラン汚染起源の推定やウラン同位体比を用いた環境トレーサーとして利用されている。本研究では、ICP-MS/MSを用いた233U /236U迅速分析法を開発し、環境放射能研究へ応用することを目的とした。1963年に東京、仙台、福岡で採取された大気降下物を測定したところ、233U/236U は10-3レベルの値で、それぞれの地点で得られた値は誤差の範囲で一致した。これらの結果は1963年の日本において、局所的なウラン汚染の影響は少なく、グローバルフォールアウトによる地球規模でのウラン降下を反映していることが示唆される。
  • 有泉 涼子, 田中 康介, 伊地知 雄太, 深海 雄介, 大野 剛, 平田 岳史
    日本地球化学会年会要旨集 69 32 2022年  
    隕石中の様々な元素について同位体異常が報告されており、その一つの要因として核体積効果による非質量依存の同位体分別(MIF)が挙げられている。この同位体効果は原子核体積が小さい同位体ほど核電荷密度が高くなることに起因している。核電荷密度が高いと原子核内に存在確率を持つs軌道電子のクーロンポテンシャルがより低くなり安定化する。そのため、最外殻s軌道に電子が存在する価数やs軌道電子への遮蔽効果の小さい分子へ、原子核体積の小さい同位体の偏りが生じる。一方で、核体積効果が生じる条件を明確にすることは隕石中の同位体異常を理解する上で重要である。これまでの研究では、クラウンエーテルを用いたSrの溶媒抽出実験においてMIFが報告され、Sr濃度が2 M以上で顕著になることから水和の影響が議論されている。そこで本研究では、最外殻s軌道に電子をもつSn(II)に注目し、Sn濃度のMIFに与える影響を調べた。

共同研究・競争的資金等の研究課題

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