研究者業績

深海 雄介

フカミ ユウスケ  (Yusuke Fukami)

基本情報

所属
学習院大学 理学部 化学科 助教
学位
博士(理学)(東京工業大学)

研究者番号
10754418
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-6066-8761
J-GLOBAL ID
201901012340502578
researchmap会員ID
B000353081

論文

 16

MISC

 63
  • 深海 雄介, 有泉 涼子, 大野 剛, 伊地知 雄太, 柏原 輝彦, 鈴木 勝彦, 平田 岳史
    日本地球化学会年会要旨集 70 189 2023年  
    磁気同位体効果は同位体の核スピンの有無に起因し、核スピンを有する同位体のみが非質量依存同位体分別(MIF)を起こす同位体効果である。重元素においては、環境中のトレーサーとして利用される水銀や、隕石中のスズ、同位体分析前処理におけるタングステンの報告など、地球化学、分析化学における議論の対象は様々な重元素に広がりつつある。重元素の磁気同位体効果によるMIFにおいては、核スピンを有する奇数同位体が複数存在する元素があるため、奇数同位体間の分別の相対関係を観察することができるという特徴を持つ。これら重元素のMIFの変動がどのような分別機構に由来するのかを理解することは、天然中で観察されるMIFから地球化学的情報を読み取る上で重要である。本発表ではスズのMIFを観察することが可能な実験系に着目し、磁気同位体効果によるMIFの性質について、特に奇数同位体間の相対関係について議論する。
  • 大野 剛, 平野 隼, 村上 諒, 伊地知 雄太, 深海 雄介
    日本地球化学会年会要旨集 70 128 2023年  
    水銀は人体に有害な重金属元素であり、揮発しやすい化学的性質により、全地球規模での汚染が問題となっている。また、水銀は生物に濃縮されやすく、微量であっても人体に影響を与えることが懸念されており、人への暴露経路となる大気・水圏における水銀循環の理解は、人への影響を低減していくために重要な研究課題である。しかし、水銀の大気に滞留する時間は1年以上と長く、全地球規模で移流・拡散していくため、発生源を特定し、環境での環境動態を明らかにすることは難しい課題となっている。近年、水銀の環境動態を調べるために、従来の濃度情報に加えて、水銀の同位体組成に注目した研究が行われている。本研究では、光還元反応における水銀同位体分別の波長依存性について調べることを目的とした。
  • 深海 雄介, 柏原 輝彦, 天川 裕史, 渋谷 岳造, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 69 203 2022年  
    鉄マンガンクラストは海洋底に広く分布する鉄マンガン酸化物であり、海洋におけるテルル循環を理解するための重要な試料である。本研究では、北西太平洋に位置する拓洋第5海山と拓洋第3海山の2つの海山において、水深1000〜5500 m付近の水深から採取した鉄マンガンクラスト表面のテルル安定同位体組成を明らかにした。テルル濃度と同位体組成変化の相関関係を見ると、ある水深を境にして相関が逆転していることが明らかになった。濃度と同位体組成の相関関係が水深によって異なるこれらの水深プロファイルは2つの海山で同様であり、濃度・同位体組成の変化が2海山において共通のプロセスで起きていることを示唆している。一方で相関関係が変化する境となる水深は2海山で異なり、拓洋第5海山では約2000 m付近、拓洋第3海山では約3200 m付近に位置しており、酸素極小層が異なる深さに位置していることと対応している可能性がある。
  • 大野 剛, 吉田 亜実, 伊地知 雄太, 深海 雄介, 五十嵐 康人, 平田 岳史
    日本地球化学会年会要旨集 69 39 2022年  
    環境中には人為起源の放射性核種である 233U、236Uが存在する。人為起源ウランは核実験や原子力関連施設の事故などから環境中へ放出され、これらのウラン同位体比は起源物質に依存して変動するため、ウラン汚染起源の推定やウラン同位体比を用いた環境トレーサーとして利用されている。本研究では、ICP-MS/MSを用いた233U /236U迅速分析法を開発し、環境放射能研究へ応用することを目的とした。1963年に東京、仙台、福岡で採取された大気降下物を測定したところ、233U/236U は10-3レベルの値で、それぞれの地点で得られた値は誤差の範囲で一致した。これらの結果は1963年の日本において、局所的なウラン汚染の影響は少なく、グローバルフォールアウトによる地球規模でのウラン降下を反映していることが示唆される。
  • 有泉 涼子, 田中 康介, 伊地知 雄太, 深海 雄介, 大野 剛, 平田 岳史
    日本地球化学会年会要旨集 69 32 2022年  
    隕石中の様々な元素について同位体異常が報告されており、その一つの要因として核体積効果による非質量依存の同位体分別(MIF)が挙げられている。この同位体効果は原子核体積が小さい同位体ほど核電荷密度が高くなることに起因している。核電荷密度が高いと原子核内に存在確率を持つs軌道電子のクーロンポテンシャルがより低くなり安定化する。そのため、最外殻s軌道に電子が存在する価数やs軌道電子への遮蔽効果の小さい分子へ、原子核体積の小さい同位体の偏りが生じる。一方で、核体積効果が生じる条件を明確にすることは隕石中の同位体異常を理解する上で重要である。これまでの研究では、クラウンエーテルを用いたSrの溶媒抽出実験においてMIFが報告され、Sr濃度が2 M以上で顕著になることから水和の影響が議論されている。そこで本研究では、最外殻s軌道に電子をもつSn(II)に注目し、Sn濃度のMIFに与える影響を調べた。
  • 平野 隼, 大野 剛, 深海 雄介
    日本地球化学会年会要旨集 69 31 2022年  
    水銀には、質量依存同位体分別(MDF)と非質量同位体分別 (MIF)が報告されており、近年では雨水で偶数同位体のMIFが確認されている。偶数同位体のMIFは上層大気起源とされ、短波長の紫外線が関与していると考えられるが、同位体効果の波長依存性は明らかになっていない。そこで本研究では、無機水銀を用いて、異なる波長の光を照射した際の同位体分別係数を実験から算出し、光還元反応による同位体分別の波長依存性を評価することを目的とした。Hg濃度を200ppbに調製し、水酸化ナトリウム水溶液と硝酸を用いてpHを調整した溶液を石英フラスコ内に入れ、HgランプとXeランプを光源として光還元を行った。適当な時間ごとに、反応溶液とトラップ溶液を回収し、還元気化装置を取り付けたMC-ICP-MSを用いて同位体比測定を行った。本実験の300nmと254nmの光還元反応で得られたMIFの混合結果から、複数波長によるMIFの混合で雨水中のMIFを再現することが可能であることが示唆された。
  • 髙橋 真里花, 横山 晶, 坂田 周平, 澤木 佑介, 山本 伸次, 深海 雄介, 大野 剛, 小宮 剛
    日本地球化学会年会要旨集 69 12 2022年  
    冥王代は大陸地殻や海洋が形成され、生命が誕生した時代だと考えられているが、物的証拠はほとんど残されていない。一般にジルコンは変成作用や風化に強く、形成時の情報を保持していると考えられていることから、冥王代史の理解において重要な手掛かりとなることが期待される。近年、海洋島のジルコンが島弧のジルコンに比べ、低いSc/Ybを持つことが報告され、冥王代ジルコンの形成環境推定にこれらの微量元素を用いた指標が有用であることが期待されている。一方で、ジルコンは晶出時に別の鉱物を取り込むことや、生じた割れ目に流体が混入することがあり、これらの異物をジルコンと同時に測定することによりジルコンのSc/Ybとは異なる値となる可能性がある。本研究では、Sc/Yb指標を冥王代ジルコンに応用することを目的として、冥王代ジルコンと太古代花崗岩質片麻岩中のジルコンを用いて、2次的混入の影響評価法の確立とSc/Yb指標の冥王代ジルコンへの応用を目指した。
  • 横山 晶, 坂田 周平, 仁木 創太, 平田 岳史, 澤木 佑介, 山本 伸次, 深海 雄介, 大野 剛
    日本地球化学会年会要旨集 68 52 2021年  
    冥王代は生命の誕生した時代であり、冥王代の地球表層環境を知ることは生命の誕生と進化を理解する上で重要である。しかし、冥王代に形成された岩石は見つかっておらず、数少ない物的証拠として注目されているのがジルコンである(Wilde et al., 2001)。近年、アイスランドなどの海洋島で産出するジルコン中のSc/Ybが島弧のジルコンに比べ低いことが報告され(Grimes et al., 2015)、これらの微量元素を用いた指標がジルコンの生成環境に制約を与えることが期待されている。本研究では、地殻岩石の主要な生成過程を海洋島型と島弧型に二分し、Grimes et al. (2015)が提唱したSc,Yb,Nbを用いたジルコンの母岩推定手法を冥王代ジルコンに適用することで、冥王代における海洋島型、島弧型ジルコンの量比の時代変動を追跡した。
  • 鈴木 勝彦, 賞雅 朝子, 土屋 卓久, 深海 雄介, 折橋 裕二, 新城 竜一
    日本地球化学会年会要旨集 68 115 2021年  
    182Wは消滅核種182Hfのβ壊変によって生成される。ハワイ,サモアなどの海洋島玄武岩には現在のマントル値に対して低い182W同位体を持つ。本研究では、地球初期のコア分離において、第一原理自由エネルギー計算により、コア-マントル境界P-T条件においても、Wは液体金属相に強く分配され、Hfは溶融ケイ酸塩に留まることが明らかになった。このようなHf-Wの分別により、コアは182Hf /182W比が低くなり,その結果コアは182Wの低い特性を持つことになる。本研究ではさらに,エチオピア玄武岩のW同位体比組成を分析した。その結果,エチオピア玄武岩は,現在の平均的なマントルに比べてわずかに負のμ182Wを示した。この結果と上記の第一原理計算によるコアの低い182W同位体を考え合わせると,ハワイ,サモアの玄武岩やエチオピア玄武岩は182W同位体値の低いコア成分を含んでいる可能性が高いことを示唆する。
  • 鈴木 勝彦, 賞雅 朝子, 深海 雄介, 飯塚 毅, 折橋 裕二, 新城 竜一, 羽生 毅
    JpGU-AGU Joint Meeting 2020 2020 2020年7月  
  • 深海 雄介, 柏原 輝彦, 天川 裕史, 渋谷 岳造, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    JpGU - AGU Joint Meeting 2020 2020年7月  筆頭著者
  • Yusuke Fukami, Minato Tobita, Tetsuya Yokoyama, Katsuhiko Suzuki
    Goldschmidt Abstracts 2020年6月  筆頭著者
  • 深海雄介, 飛田南斗, 横山哲也, 鈴木勝彦
    日本地球化学会年会要旨集(Web) 67th 2020年  
  • 飾森順子, 大野剛, 深海雄介
    日本地球化学会年会要旨集(Web) 67th 2020年  
  • 星野友里, 大野剛, 深海雄介
    日本地球化学会年会要旨集(Web) 67th 2020年  
  • 田中康介, 大野剛, 深海雄介
    日本地球化学会年会要旨集(Web) 67th 2020年  
  • 大野剛, 實籾佑哉, 佐藤妃奈, 深海雄介
    日本地球化学会年会要旨集(Web) 67th 2020年  
  • 小川龍三, 大野剛, 深海雄介, 鈴木勝彦
    日本地球化学会年会要旨集(Web) 67th 2020年  
  • 横山晶, 坂田周平, 澤木祐介, 山本伸次, 深海雄介, 大野剛
    日本地球化学会年会要旨集(Web) 67th 2020年  
  • 深海 雄介, 飛田 南斗, 横山 哲也, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 66 83-83 2019年9月  
    <p>本研究では、近年開発された低信号強度のイオンビームの測定に適しており、極微量のPbに対して高精度分析が期待できる、10の13乗Ω抵抗を適用した場合のTE-DS-TIMSによる分析精度の評価を行った。10の11乗Ω抵抗の増幅器の信号時間変化と比較すると、10の13乗Ω抵抗の増幅器は時間応答が遅く、信号強度が最大となる時間に2秒の差異が生じるものの、TE-DS法においては抵抗値の異なる増幅器間の時間応答性の差は同位体比分析結果に大きく影響しないことが分かった。10の13乗、10の12乗Ω抵抗の増幅器を併用した場合、206Pb/204Pb比の繰り返し再現性(2S.D.)として、100 pg、10 pgのPb量に対して、それぞれ0.59‰、1.2‰が得られた。</p>
  • 星野 友里, 大野 剛, 深海 雄介
    日本地球化学会年会要旨集 66 258-258 2019年9月  
    <p>水銀は生物に濃縮されやすく、微量であっても人体に影響を与える重金属であるため、人への主な暴露経路である水圏の水銀循環を理解することは重要である。これまで、環境中の水銀の汚染評価、起源推定の指標として水銀濃度や化学形態の分析が用いられていた。さらに現在、同位体比を用いた分析が注目されている。水圏試料の水銀同位体比測定例としては、比較的水銀濃度の高い魚介類について報告がある。しかし、魚介類の水銀摂取源である海藻やプランクトンについては水銀濃度が極めて低いため、現状では同位体比の分析が困難である。そのため、水圏での水銀濃縮過程を包括的に理解するためには食物連鎖の最初期段階に位置する低水銀濃度試料の同位体比測定法を確立することが鍵となる。そこで、本研究では微量水銀同位体分析を可能にするため、水銀濃縮法の検討を行った。</p>
  • 飾森 順子, 大野 剛, 深海 雄介, 五十嵐 康人
    日本地球化学会年会要旨集 66 240-240 2019年9月  
    <p>環境中のウランにはU-234、U-235、U-236、U-238の同位体が存在している。U-235は核分裂を起こすため核燃料として利用され、その際にU-236が生成する。U-236は新規の海洋トレーサーとして期待されており、その起源は核関連施設由来であるとされていた。しかし近年、大気降下物の235U/238U分析により、U-235の存在比が天然比より低い劣化ウランの環境中への放出が示唆され、劣化ウランにはU-236が含まれるものも存在する。U-236を海洋トレーサーとして用いるためには、環境中の更なるウランの起源解明が必要であり、本研究では、ウランの用途の違いによる235U/238Uと236U/238Uの変動に着目し、大気降下物試料と東京湾海底堆積物試料を用いて、より詳細なウランの起源推定を試みた。</p>
  • 佐藤 妃奈, 深海 雄介, 大野 剛
    日本地球化学会年会要旨集 66 238-238 2019年9月  
    <p>半減期1570万年である放射性ヨウ素-129は放射性ヨウ素の環境トレーサーとして用いられてきた。環境試料中のヨウ素-129の濃度を迅速に調べる手法の一つとして、溶液試料導入法を用いたICP質量分析計による測定法が提案されている(Ohno et al., 2013)。しかしこの手法では、127Iの水素化物イオンによる質量数129への干渉を完全には除去できず、測定の感度も十分とは言えないという問題点がある。そこで本研究では試料溶液中のヨウ素を酸化気化しICP質量分析計へ導入する(気化導入法)ことでこれらの問題点の改善を試みた。導入路に極性分子を取り除く微細膜チューブを用いた気化導入法の感度は溶液導入法より10倍以上向上した。</p>
  • 佐藤 翔一, 柵木 彩花, 大野 剛, 深海 雄介
    日本地球化学会年会要旨集 66 231-231 2019年9月  
    <p>炭酸塩鉱物はどの時代にも地球表層環境に普遍的に存在し、元素・同位体組成が沈殿時の海洋環境を反映することから、海洋古環境情報復元のための試料として広く用いられている。近年、新たに環境情報を復元する指標として炭酸塩鉱物中の二族元素の同位体分別が注目されている。また、固相―液相間で同位体変動が起こる主な要因として、天然の炭酸カルシウムにおけるカルサイトとアラゴナイトといったような結晶系の違い、液相のpH、結晶成長速度の3つが挙げられる。これらの指標から海水組成、二酸化炭素吸収量、風化速度といった古環境情報を復元することができる。そこで本研究では、炭酸カルシウムにおけるこれら3つの指標を制御する無機沈殿実験法を開発し、研究例が限られている各結晶構造における模擬海水-炭酸カルシウム間でのストロンチウム同位体分別の大きさとpH、沈殿速度との関係性について調べることを目的とした。</p>
  • 小川 龍三, 大野 剛, 深海 雄介, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 66 230-230 2019年9月  
    <p>近年では間接的に過去の二酸化炭素濃度を推定する方法として海洋中に存在する炭酸塩中のホウ素同位体比が注目されている。海洋中のホウ酸イオンとホウ酸の存在度はpHに依存しており、ホウ酸イオンとホウ酸の存在比がホウ素同位体比に比例するため、pHの推定にホウ素同位体比を利用できる。無機的な沈殿実験からホウ素同位体比はpHと正の相関を示し、結晶成長速度と系統的な相関は示さないと述べられている。しかし、沈殿実験の模擬海水に炭酸ナトリウムを添加していることで、急激にpHが上昇し、ホウ素同位体比が変動してしまうため、正確なホウ素同位体比とpHの相間関係を得ることができない。本研究では炭酸イオン源として炭酸水素ナトリウムを用いることで急激なpH上昇を抑えつつ、ホウ素を添加した炭酸塩を無機的に沈殿させ、結晶成長速度とホウ素同位体分別の関係を調べた。</p>
  • 永井 悠太郎, 大野 剛, 深海 雄介, 鵜野 光, 平山 簾
    日本地球化学会年会要旨集 66 136-136 2019年9月  
    <p>過去の生物の食性を知ることは、生命の進化を探る上で大きな手掛かりとなる。近年、生体アミノ酸中の窒素同位体比を用いて食物連鎖を定量的に評価する手法が開発されたが、長い時間経過により古生物の初生的な有機物を得ることは難しい。本研究では、化石試料に応用可能な新たな食性指標としてMgとSr同位体比に注目した。MgとSrは代謝の際に骨中のCaと置換して同位体分別を起こすことが報告されており、栄養段階に対する窒素同位体比と比較することで古食性指標としての評価を行った。試料は、陸生、海生、白亜紀後期の板鰓類歯化石を用いた。結果は、魚類においてMgとSr共に食物連鎖に応じて軽い同位体が濃縮する傾向が得られた。また、板鰓類歯化石は現生の板鰓類と比べて明らかな続成作用の影響はなく、その同位体比は現生と異なる値を示した。以上より、MgとSr同位体比を用いて新たな古食性や古生態復元の議論が可能になることが期待できる。</p>
  • 大野 剛, 坂田 周平, 伊地知 雄太, 中林 賢一, 深海 雄介, 澤木 祐介, 山本 伸次
    日本地球化学会年会要旨集 66 139-139 2019年9月  
    <p>地球表層環境は生命の誕生を可能にし、さらに環境の変化は生命の進化を促してきたと考えられるため、地球表層環境の変遷を読み解くことは地球科学のみならず生物学も含めた学際領域研究として重要である。「地球メタロミクス」研究は、地球表層環境の金属元素濃度及び化学状態の変遷を読み解くことで金属元素が生命の起源・進化にどのように作用してきたのかを理解することを目指している。これらの研究を推進するためには、全元素を俯瞰し、金属元素の特徴を利用した無機化学的研究と新たな分析手法に端を発した分析化学的研究の二つが重要となる。本発表では、我々が進めてきた重元素安定同位体地球化学に関する研究とLA-ICP-MS/MSを用いた新しい分析手法に関する研究について紹介する。</p>
  • 中林 賢一, 大野 剛, 深海 雄介
    日本地球化学会年会要旨集 66 133-133 2019年9月  
    <p>水銀は人体に有害な元素であるため、環境での挙動を把握することは人への影響を低減する上で重要である。近年では質量に依存しない同位体分別 (Mass Independent Fractionation (MIF)) を用いた反応経路の推定が注目されており、多くの天然試料に含まれる水銀同位体比が測定されている。しかし、大気・水圏における水銀のMIFの大きさや質量に依存する同位体分別 (Mass Dependent Fractionation (MDF)) との関係を統一的に説明できる同位体分別機構はこれまで報告されていない。そこで、本研究では海水と陸水において魚の同位体分別の値が異なることに着目し、水銀同位体分別の大きさと溶液中の化学組成に注目した。特に反応溶液のpHに焦点を当て、pHを変化させた条件でUVによる水銀還元反応実験を行い、溶液中の化学組成が水銀同位体効果に与える影響を調べた。</p>
  • 鈴木 勝彦, 賞雅 朝子, 深海 雄介, 飯塚 毅, 折橋 裕二, 新城 竜一
    日本地球化学会年会要旨集 66 214-214 2019年9月  
    <p>182Hfは比較的短い半減期890万年で182Wにベータ壊変する。Hfは親石元素、Wは親鉄元素であるために、マントルとコアの間で分別が起き,マントルは高いHf/W比,コアは低いHf/W比を持つと考えられる。地球の初期,182Hfが消滅する前にコアが分離すれば,Hf/Wの高い始原マントルは高い182W/184W比を,Hf/W比の低いコアは低い182W/184W比を持っていることになる。本研究では,東アフリカAfarプルームに由来するエチオピアの玄武岩とアデン湾のMORBに適用した結果,いくつかの試料で,繰り返しの誤差の範囲を超えて負異常が得られた。コアの物質を含んでいる可能性が考えられるか,少なくとも地球ができて間もない頃の化学分別の痕跡を含んでいると考えられる。</p>
  • 中林賢一, 深海雄介, 坂田周平, 大野剛
    環境化学討論会要旨集(CD-ROM) 28th ROMBUNNO.P‐146 2019年6月11日  
  • 深海 雄介, 柏原 輝彦, 天川 裕史, 渋谷 岳造, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    日本地球惑星科学連合2019年大会 2019年5月  
  • Y. Fukami, T. Kashiwabara, H. Amakawa, T. Shibuya, A. Usui, K. Suzuki
    The 1st International Workshop for Aquaplanetology 2019年3月  
  • 深海雄介, 飛田南斗, 横山哲也, 森脇涼太, 臼井寛裕
    NINS分野融合型共同研究ワークショップ『量子ビームを用いた次世代非破壊分析技術とその応用 惑星物質科学との可能性』 2018年10月  
  • 天川 裕史, 深海 雄介, 鳥本 淳司, 野崎 達生, 飯島 耕一, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 65 198-198 2018年  
    <p>拓洋第5海山周辺の測点CTD03で採取した海水のNd濃度および同位体比の測定を行った。このデータと昨年度本年会で報告した同海域の測点CTD01のデータを併せ、同海域の水塊構造に関する議論を行う。測点CTD03はNd濃度および同位体比とも、測点CTD01とほぼ同様の鉛直分布を示した。この両測点から少し離れた位置に他の研究者が研究を行った測点TPS 24 271-1が存在するが、Nd濃度についてはほぼ同じ鉛直分布であった。しかし、表層付近において我々の分析した測点と測点TPS 24 271-1の間には明瞭なNd同位体比の違いが認められた。この違いについては、海水試料を採取した時期の違い、もしくは海域の違いに起因する表層水の循環の違いによるものと考えられる。</p>
  • 高野 祥太朗, 辻阪 誠, 土屋 真緒, 申 基澈, 深海 雄介, 鈴木 勝彦, 宗林 由樹
    日本地球化学会年会要旨集 65 196-196 2018年  
    <p>Ni,Cu,Znは,海洋生物にとって必須または毒性がある. 海洋におけるそれらの循環は, 大陸との相互作用, 生物活動, 海洋大循環の影響を受けるため, 気候変動,海洋生態系の研究と密接に関係している.Ni,Cu,Zn同位体比は物理的,化学的および生物学的過程において変化する.そのため,濃度に加えて安定同位体比を分析することで,微量金属の生物地球化学循環をより詳細に知ることができる.本研究では,これまでに開発した海水中Ni, Cu, Zn同位体比一括分析法を用いて,西経170度測線における南極海,南太平洋の溶存態Ni, Cu, Zn濃度および同位体比の鉛直断面分布を明らかにした.</p>
  • 賞雅 朝子, 深海 雄介, 飯塚 毅, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 65 68-68 2018年  
    <p>182Hfは、182Wに890万年という短い半減期でベータ壊変する。Hfは親石元素、Wは親鉄元素であるため、182W同位体は地球初期のコアの分離の際の分別過程を保存している可能性がある。本研究では超高精度のW同位体比分析手法を構築した。その過程で、183Wにおそらく原子核場シフトによる欠損が生じることを確認し、標準溶液も同様の分離をすることで信頼度の高いW同位体組成データを得ることに成功した。その方法を利用して、深部起源の玄武岩や中央海嶺玄武岩を分析したところ、現在のマントルの平均値が得られ、一方、ハワイ・ロイヒ島の3He/4Heの高い玄武岩ではマントル平均値より低い値が出ることが明らかになった。これは先行研究と調和的な結果であり、コア由来の182Wが欠乏したW同位体組成の影響を受けている可能性がある。</p>
  • 深海 雄介, 柏原 輝彦, 天川 裕史, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 65 38-38 2018年  
    <p>本研究では、北西太平洋に位置している拓洋第5海山と拓洋第3海山において、平頂部である1000m付近から最深部である5500m付近までの一連の水深から遠隔操作型無人探査機により採取した鉄マンガンクラスト表面試料について、Te濃度・安定同位体組成を明らかにした。Te濃度・安定同位体組成の相関関係が、水深が深くなるに従い変化するという同様の傾向が2つの海山において見られた。相関関係が変化する水深は2つの海山で異なり、酸素極小層が拓洋第5海山よりも深い水深に位置する拓洋第3海山では、相関関係の変化する境となる水深も同様に深いことが明らかになった。異なる海山における酸素極小層とTe濃度・同位体組成の相関関係の変化する境の水深の対応関係は、海洋におけるTeの挙動が溶存酸素濃度の変化と関連する可能性を示唆しており、その変動過程について議論する。</p>
  • Y. Fukami, T. Kashiwabara, A. Usui, J.-I. Kimura, K. Suzuki
    Goldschmidt Conference 2017年8月  
  • 高野祥太朗, 谷水雅治, 平田岳史, 申基ちょる, HO Tung‐Yuan, LIAO Wen‐Hsuan, 鈴木勝彦, 深海雄介
    分析化学討論会講演要旨集 77th 91 2017年5月13日  
  • 深海 雄介, 柏原 輝彦, 臼井 朗, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 64 102-102 2017年  
    <p>鉄マンガンクラストは海洋底に普遍的に存在する鉄マンガン酸化物であり、様々な金属元素が濃集している。その中でもテルル(Te)は地殻に対して一万倍以上もの特異的な濃集を示す(Hein et al., 2010)。元素の供給源である海水中では、TeはIV価とVI価の2つの化学種が存在することが報告されており(Lee and Edmond, 1985)、海洋の酸化還元状態の指標の一つとして有望な元素である。一方で鉄マンガンクラスト中のTeはVI価でのみ存在し、水酸化鉄への鉄との構造的置換により濃集することが報告されている(Kashiwabara et al., 2014)。これら酸化還元反応を伴う濃集を始めとした海洋環境において起こり得るTe同位体分別の変動幅はこれまで明らかになっていない。そこで本研究では、Te同位体比変動と酸化還元状態等の海洋環境の変化との関連を調べることを目的とし、現世の海水と接している鉄マンガンクラスト表面のTe安定同位体組成の変動幅を初めて明らかにした。</p>
  • 飛田 南斗, 浅沼 尚, 深海 雄介, 森脇 涼太, 横山 哲也, 臼井 寛裕
    日本地球化学会年会要旨集 64 295-295 2017年  
    <p>TIMSを用いたジルコンの高精度Pb同位体分析は、その年代学的重要性から多くの研究が行われてきた。TIMSを用いた高精度同位体分析では、分析中に生じる質量依存同位体分別の補正が欠かせない。本研究では、分析中の同位体分別の影響が比較的小さいトータルエバポレーションTIMS(TE-TIMS)に着目し、ジルコンの高精度Pb同位体分析手法を開発した。TE-TIMSによる208Pb/206Pb比の同位体分析を行ったところ、その値は真値からわずかに変動することが分かった。変動の程度は測定試料の種類及びPb量によらず一定であり、この同位体分別係数を用いることでTE-TIMSによるジルコンのPb同位体分析が可能になる。本研究で開発した分析法を用いて測定したNIST 983の繰り返し再現性は、先行研究よりも約10倍程度良かった。</p>
  • Y. Fukami, J-I. Kimura, K. Suzuki
    Goldschmidt Conference 2016年6月  
  • 深海雄介, 飛田南斗, 横山哲也, 森脇涼太, 臼井寛裕
    日本地球化学会年会講演要旨集 63rd 197 2016年  
  • 深海雄介, 木村純一, 鈴木勝彦
    日本地球惑星科学連合大会予稿集(Web) 2016 ROMBUNNO.MIS18‐P07 (WEB ONLY) 2016年  
  • 渡慶次 聡, 西 圭介, 深海 雄介, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 63 210-210 2016年  
    <p>本研究では、マンガン団塊Nod-A-1、Nod-P-1、JMn-1、堆積物JMS-2の地球化学標準物質に対して、同位体希釈内標準法を適用し、34種の微量元素組成をICP-QMSにより測定した。マンガン団塊・堆積物標準物質は、約3-12%の高いH2O(-)を呈する。110°C加熱後、デシケーター内に保存したとしても、これらH2O(-)は短時間で急激に増加する傾向が見られた。すなわちマンガン団塊・堆積物の高いH2O(-)および水分吸着性を考慮しなければ、微量元素測定の際に、秤量誤差に起因して真値よりも系統的に低濃度の分析結果を得ることが示唆される。本研究で測定した微量元素濃度の繰り返し再現性はIn(2-5%), Tl(3-11%), Bi(4-6%)を除いて、±3%(RSD, n=6)で得られた。本研究で用いた同位体希釈内標準法による高精度分析は、微少量しか得られない希少な海底試料の地球化学的情報抽出に最適な手法と考えられる。</p>
  • 深海 雄介, 飛田 南斗, 横山 哲也, 森脇 涼太, 臼井 寛裕
    日本地球化学会年会要旨集 63 181-181 2016年  
    <p>数ナノグラム以下の極微量Pb同位体分析時に分析精度に大きく影響するのは、存在度の最も低い同位体である204Pb (1.4%)の信号強度の低さであり、極微量PbについてPbイオン信号強度を最大化する事が分析精度の向上に重要である。本研究では、極微量Pb(< 2 ng)に対して同位体分析手法の最適化を行い、表面電離型質量分析計(TIMS)を用いてトータルエバポレーション法と204Pb-207Pbダブルスパイク法を併用した高精度Pb同位体分析手法の開発を行った。Pb信号強度の最大化と測定精度向上のために、イオン化促進剤の量、試料塗布幅、フィラメント電流値変化、測定値の計算方法の検討を行った。本研究の手法における208Pb/204Pb比の繰り返し再現性(2S.D.)として、0.160/00 (2 ng)、0.450/00 (0.5 ng)、1.30/00 (0.1 ng)が得られた。</p>
  • 賞雅 朝子, 深海 雄介, 仙田 量子, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 63 196-196 2016年  
    <p>地球深部におけるマントルとコアは高温・高圧下で岩石層と液相金属が接し、相互作用が生じているとされており,周辺のマントルに特殊な同位体や化学的な特徴をもたらすと予測されている. 本研究では地球のコアとマントルおよび地殻の共進化過程を解明するために、まず地球岩石における高精度のW-Os-Nd同位体分析を行い、時間軸および空間軸におけるこれらの同位体変動を明らかにしていきたいと考えている。 高精度W同位体比分析にはマルチコレクター型ICP-MSのNeptune Plus(Thermo Scientific)を用いて行う。OsおよびNd同位体比分析にはTRITON Plus(Thermo Scientific)を用いる予定である。 測定する試料は、空間軸・時間軸を広げるため、Os同位体比やNd同位体比に異常がある初期地球の岩石試料や、MORB、OIB、キンバライト・巨大火成岩岩石区(LIPs)などの試料を測定予定である。</p>
  • 深海 雄介, 木村 純一, 鈴木 勝彦
    日本地球化学会年会要旨集 62 207-207 2015年  
    本研究では、鉄マンガンクラスト中のTe安定同位体組成の変動幅を明らかにする事を目的として、マルチコレクター型誘導結合プラズマ質量分析計(MC-ICPMS)を使用したTe安定同位体分析法の開発を行った。装置はJAMSTEC所有のNEPTUNE(Thermo Scientific社製)を用い、試料導入系として脱溶媒試料導入装置(Aridus II、CETAC社製)を使用した。分析装置内における質量差別効果の補正には、122Te-126Teスパイクによるダブルスパイク法を用いた。Te試薬を用いた予察的実験の結果、1測定あたり30ngのTeを使用した分析の繰り返し再現性(2SD)は、130Te/125Te比について0.03‰が得られた。本研究で用いたTe安定同位体分析手法を鉄マンガンクラスト等の海底物質に適用することで、これまで明らかにされていないTe安定同位体組成の変動幅を決定することが期待できる。
  • Y. Fukami, T. Yokoyama, W. Okui
    45th Lunar and Planetary Science Conference 2014年3月  
  • Y. Fukami, T. Yokoyama, W. Okui
    Geofluid3 2014年2月  

共同研究・競争的資金等の研究課題

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