阿部 広明, 横山 岳, 黄色 俊一, 三田 和英, 安河内 祐二, 嶋田 透
日本蚕糸学会 学術講演会 講演要旨集 jsss72 149-149 2002年
これまでにW染色体上にはW-Kabuki, W-KamikazeならびにW-Samuraiと称する3種類のRAPDが得られている。これらのうちW-Kabuki RAPDについては, その配列を含むBACクローンが得られており, そこを起点にcontigが進んでいる。W染色体の解析をさらに進めるためには, 起点となるDNAマーカーを増やす必要がある。そこで本研究では, まず, 新たに合成した500種類の10-merの任意配列プライマーを用い, W染色体上のRAPDの探索を行った。その結果, 1種類のW染色体特異的RAPDが得られた。またW染色体には多くのレトロトランスポゾンが入れ子状態で存在することから, 各種レトロトランスポゾンの配列を含むPCR用プライマーを作製し, 新たなマーカーの探索を行った。その結果, レトロトランスポゾンKabukiとBMC1の配列を含むプライマーの組み合わせにより, 新たなDNAマーカーが得られた。なお, これら2種類のW染色体特異的DNAマーカーは, 限性ゼブラのW染色体上にも存在していたが, 雌決定遺伝子が欠落したW染色体上には存在していなかった。これらのことから, 2種類のDNAマーカーは, 雌決定遺伝子に比較的近い位置に存在するものと考えられた。