勝又 隆
日本語の研究 1(4号(国語学通巻223号)) 79-93 2005年10月 査読有り
上代における「-ソ-連体形」文は、「ム」「ラム」「ケム」「マシ」「ベシ」「ラシ」といったいわゆる推量系の助辞を結びの用言にとりにくい。一方、中古の「ゾ」の場合は「ラシ」結び以外は決して少なくない。上代と中古でこのような差異が見られるのは何故なのか。またそのことと構文構造とはどのような関わりがあるのだろうか。本稿では、まず「-ソ-連体形」文が発話の根拠となる情報を現実に存在する事態として認識している際に用いられることを示す。次に構文的特徴の面でも形容詞述語文と共通点を持ち、機能面と構文構造とに密接な関連が見られることを指摘し、最後に「-ソ-連体形」文の変化に形容詞述語文も影響を与えた可能性があることを指摘する。