遠藤 薫
社会情報学 1(1) 21-32 2012年
「社会情報学」は新しい学問である。その新しさは,三つの角度から考えることができる。第1に,「情報」という,自然科学と社会科学の枠を越えた根本概念からアプローチすることによって,世界を新たな普遍的な相のもとに捉え直す。第2に,「情報」の本質的なダイナミズム(双方向性)によって,ミクロな現象からマクロな現象まで,連続的に分析できる。第3に,東日本大震災や「アラブの春」でソーシャルメディアに大きな関心が集まったように,「情報」のソーシャリティと新たなテクノロジーとの相互作用を明らかにする。これらの性質から,「社会情報学」は,それ自体が重要なディシプリンを構成するだけでなく,様々な学問領域のプラットフォームとなりうる。すなわち,社会情報学は,あらゆる境界を越えて,多様なアイディアを結び,異質な発想の衝突から新しい文化と生活とを創発させる場となるだろう。