<p> 本研究の目的は,ヨーロッパ乳文化の熟成チーズ発達史を考察する一環として,1)サルデーニャで実践されているチーズ加工を把握し,2)暑熱環境下においてどのように生態環境を利用してチーズの熟成を実現させているかを分析することを通じて,3)サルデーニャにおける熟成チーズの発達史を考察することにある。サルデーニャでは,凝乳からホエイを抜く際に加熱しない pasta cruda 法によりカズ・クルドゥ(S)/フィオレ・サルド(I)と呼ばれる熟成ハードチーズをつくってきた。サルデーニャの移牧民は...